ミュージアム・オブ・バッド・アート(略称MOBA)へ数年前から行きたくてウズウズしている。名前は似ているけれど、海の見えるMOA美術館(静岡県)や、ましてやMoMA(ニューヨーク近代美術館)では断じてない。でも、どちらかというと、ぼくはMOBA派。
字義通りに取るなら「サイテー芸術美術館」。場所はマサチューセッツ州だ。紹介にはこうある。
The Museum Of Bad Art (MOBA) is a community-based, private institution dedicated to the collection, preservation, exhibition and celebration of bad art in all its forms and in all its glory.
悪い芸術(MOBA)の博物館は、すべての形式において、栄光に満ちた悪い芸術を収集、保存、展示し、そうした芸術を祝う地域密着型の民間機関です。

1993年の秋に設立され、94年3月に初の展覧会を開催したところ、それが評判を呼んだ。当初は個人宅の地下に拠点を置いたが、活動が徐々に認められ、ボストン郊外デダムのコミュニティ・センターに常設展示場を持つまでになったという。
サイトに置かれたコレクションは、どれをとっても、最悪。「ああ、ネコを描きたかったんだろうけど、ムズカシかったんだろうナ、まあ、いいけどね」とか、「あちゃー、コレは可愛さを表現したかったんだろうけど、ブキミでしかないな。アハハ」といちいちおかしい。でも、ことインパクトに限っては日展や院展の特選より、はるかにデカイ。

なんだろう、この既視感は…と思ったら、スカム・ミュージックを思い出した。「スカム・ミュージック」というのは、通好みの呼び方だ。端的に言って「サルの方がなんぼかマシ」な音楽性。ヘタクソに輪をかけたといえば分かるだろう。触ったことのない楽器を使ったり、利き腕と違う方で演奏したりと、プロは意図的にスカムをつくろうとする。でも、なかなかうまくいかない。そう、こうしたバッド・アートは、実をいうと、意図的に表現するのが最も難しいのだ。